恋愛心工事中。
「今日…今から顧問に呼び出しくらっちゃってさ…」
トイレットペーパーがスルスルと戻っていく。
「…どうすれば…」
あ~っ!
情けないぃ…(泣)
『そっ…か』
壱は少し考えているのか、黙り込む。
………間。
沈黙だけれど、
2人は繋がってる。
この電波で。
携帯を持つ手が、微かに震えた。
心臓がトクントクンと高鳴って。
壱の声は聞こえないけど、壱が電話越しにいるという感覚。
バカみたい。
意識しすぎだよ。
『じゃ、明日…
でも良いか?』
やっと聞こえた壱の声。
「あっ…壱が良いなら良いけど…」
花火大会の日。
あたしが去った後に琉依と何を話したのか……
『明日…放課後、また公園で待ってる』
「う、ん」
電話を切ろうと、携帯を耳から少しだけ離すと。
『美羽』
あたしを呼ぶ声。
あたしは急いで携帯を再び耳に当てた。
「は、はいっ」
うわぁ~…。
どもってるし(汗)
『部活と大会、頑張れよ』
……………。
優しい、声。
あんなウザい奴だったのにさ。
嫌いだったのにさ。
何でこんなに今、あたしの頭の中に入ってくるんだよ。
こんな感情、もう捨てたはずだった…
けど………
携帯から耳に伝わった壱の声に…
体が心臓になったみたいに震えたのは…
やっぱりあんな奴に恋してる証拠。