恋愛心工事中。
『…美羽だって』
瑠璃が辛そうに眉根にシワを寄せる。
『黒崎君の事、好きなくせに』
…………っ、
沈黙が起きた。
俯くあたし達は、うどんを食べる箸も持たないままで。
ただ、自分のスカートの方向をじっと見ていた。
…瑠璃には言わなくちゃいけない。
あたしはスカートをぎゅっと握った。
瑠璃は壱が好き。
きっと、こんな表情するんだから…壱の事、本気だよね。
あたしも。
あたしもなの。
ここで引き下がる訳には、いかないの。
やっと気付いた
やっと見つけた
やっと出来た
無駄にしたくない、失いたくない。
この恋愛心を。
やっと壱を好きと思えた。
やっと恋が出来た。
あたしには、奇跡と言っても良いの…
瑠璃、ごめん。
ごめんね。
瑠璃も気付いているんだよね。
あたしは壱が好き、壱もあたしが好き
って事を。
「…あのね」
あたしはスカートを握りしめたまま、瑠璃を見た。
聞きたくない、みたいな表情だった。
胸の奥が痛む。
……瑠璃。