恋愛心工事中。
厳しい鬼顧問と戦って(?)今日もクタクタになって部活を終えた。
『は~暑ぃ~』
京司はダルそうに赤茶色の狼みたいな髪をタオルで拭いた。
「京司!髪は更衣室で拭かなきゃ叱られるよ!?」
玄関へと向かうあたし達の歩く廊下に、水玉模様が出来ている。
『まぁまぁ♪
堅い事言うなよ♪』
…………。
京司はいつでも悠長だなぁ。
♪PLULULULU
「おぅわっ!?」
『何!?』
スカートのポケットに入れた携帯が揺れて、驚くあたしを見て驚く京司。
「電話だ」
『ビビった…』
京司は呆れ顔であたしを追い越した。
ディスプレイに表示されたのは…
"壱"
ちょっとドキドキしながら通話ボタンを押した。
「……はい」
何でだろ。
壱と電話すると、手や声が震える。
『よっ』
壱の声が耳に響く。
『今日は来れる?』
「うん!」
壱は少し笑ったような気配を見せて、
『あの公園に居るからさ、出来るだけ早く来いよ?』
壱がこんな夜に近い時間にまで待ってくれている事が、嬉しかった。
「…うん」