恋愛心工事中。
ドキドキしながら通話を終えた。
壱の声が耳に張り付いている気がして、恥ずかしくなる。
『美羽、早く』
先に玄関に着いた京司が急かす。
「あ、ごめん!」
急いで玄関に行ってローファーに履き替えた。
京司と外へ出た。
『蒸し暑いな』
京司はウンザリした表情だった。
「京司さ、最近元気ないみたいだけど…大丈夫?」
あたしの問いかけに目を丸くする京司。
『……何で分かった訳?』
やっぱりね。
嘘をつかないのが京司らしくて笑った。
『何笑ってんだよ、失礼な奴だな』
京司は口を尖らせてあたしを見た。
京司はここ最近、あまり元気がないように見える。
クラスが違うから、あまり分からないけど…
部活で会うと、前より元気がないように思えるのだ。
「何かあった?」
『別に?』
凄く素っ気なく言う京司。
「元気ないって言ったじゃんかぁ!!」
『まぁな』
京司は自分のカバンを開けて、
『やる。
疲れてんだろ、平泳ぎばっかやって』
京司が何かを投げてきて、反射的に手を伸ばす。
『お、ナイスキャッチ』
あたしの手のひらには、小さな飴が乗っていた。
「…ありがと」