恋愛心工事中。
京司は優しい。
あたしは平泳ぎ専門で、今回の大会も、クロールと平泳ぎに参加する。
クロールも練習しているが、それよりも平泳ぎ中心。
平泳ぎはあたしの得意種目で、前の大会では1位だった。
だから、今年も1位を目指して、平泳ぎ中心に練習しているんだ。
飴を口の中に入れ、京司と校門へと辿り着いた。
『じゃーな』
京司とは家が反対方向で、校門で別れる事になる。
壱との待ち合わせの公園も、あたしの家方向で、京司の家とは反対だ。
「京司ぃ」
『ん?』
歩き出した京司の背中に呼びかけると、京司は振り向いた。
「何かあったらすぐに言ってよ?」
あたしの言葉に、笑顔で頷いた京司。
その笑顔は、どこか淋しそうだった。
少し心配になって、あたしは京司が見えなくなるまで、そこを動かなかった。
……………。
あたしは京司の友達なのに、頼りにならないのかな。
京司は…きっと何かを抱えてる。
あたしの人生初の男友達なんだよ。
凄く大切。
だけど………
あたしに話せない事があるの?
あたしじゃ力になれないの…?
口に広がる甘い飴が苦く感じた。