恋愛心工事中。
京司の姿が見えなくなると同時に、あたしは踵を返した。
…公園へと向かう。
口の中の京司に貰った飴が更に苦くなったような気がして。
7月でも夕方は過ごしやすい温度。
腕まくりしていたブラウスをおろした。
一歩一歩進むごとに、緊張が募る。
あの公園に行けば、壱が居る。
壱から、琉依と何を話したのか聞ける。
琉依の連絡先を聞いて、電話する事になる。
……………。
小さな飴が口の中で溶けると、あたしは小さく深呼吸した。
公園へやって来た…
あたしは公園の中にゆっくりと入った。
そして、すぐ目に入った滑り台。
……前に壱に男嫌いになった理由を話した時に、あたし達が座っていた所。
そこに壱が居た。
あたしに横顔を向けている状態の壱。
顔はよく見えない。
あと一歩前に行けば滑れる、という位置に居る。
後ろの壁に背を預け、身動きをしない。
…………?
あたしに気付いたような素振りも無い。
あたしは滑り台へと近付いた。
滑り台の階段を上がっていくと、壱の姿が見えた。