恋愛心工事中。
「…あれ」
壱は壁にもたれ、目を閉じていた。
「…………」
まさか。
あたしは壱の隣にしゃがんだ。
壱はあたしの方向を向いている。
……………。
壱の肩を指で軽くつついてみる。
……………。
「…壱?」
……………。
………寝てる…
夏には嬉しい爽やかな風が吹き、壱の髪を揺らした。
サラサラな金髪は、キチンとワックスで整っている。
筋のある高い鼻に、白く綺麗な肌。
薄い形の良い唇が少し開いている。
「…睫毛…長」
なんて勝手に観察してみたり。
気持ちよさそうに眠る壱を見ると、胸がキュンッてなった。
…本当に犬みたい。
あたしはジーッと壱を見つめていた。
綺麗だな…
女装したら、あたしなんかより綺麗かもしれない。
この金髪は染めてるのかなぁ…
にしてはサラサラなんだけど…
「っ」
壱が俯いたからビックリした…
…………わ。
つむじ………
今まで以上にドキドキしてきた。
さ、
触りたい………
ドキ…ドキ…
俯いた壱の髪の間から覗くつむじ。
「………っ」