恋愛心工事中。
壱の香りがあたしの鼻をくすぐる。
壱の手の温度が伝わってくる。
かなり至近距離にある壱の顔に、顔は赤くなる一方。
つむじなんて触ろうと思ったのが間違いだったー!
…後の祭り。
あたしは決心して、ゆっくりと体を壱から離した。
………お。
良い感じ………
体がだいぶ離れて、あともうちょっと…って時。
バッチリ。
視線がぶつかってしまいましたとさ。
勿論。
壱とね?
まん丸に目を見開いた壱に、あたしは苦笑いするだけ。
だって、壱の膝の上に座ってた上に、手を繋いでいる。
驚かない訳がないでしょ…(泣)
壱は寝てたから、あたしを引っ張ったなんて知らないハズ。
なんつー運が悪い女なんだ、あたし。
『……美…羽?』
状況がイマイチ掴めてない壱。
「あはは~…」
苦笑いのあたし。
き、き………
気まずーっ!!(泣)
『…何してんの』
わ!?え!?
やっぱり記憶に無かったかー!!(泣)
「こ、これは壱がいけないっ…」
壱が、自分の唇に人差し指を当て、静かに、というポーズをとった。
微かに微笑む壱にはサマになっていて、心臓が跳ねた。