恋愛心工事中。


『…じゃあ話すか』


壱は少し体勢を崩して、あたしを見た。




あたしは頷く。





………やっと。

やっと壱と琉依が何を話したのかが聞けるんだ…。





『美羽が走って行っちまった時…俺、美羽を追いかけようとしたんだ』



壱は思い出すように話していく。






『でも…琉依に引き止められた。
何かと思ったら…

琉依、美羽を幸せにしてやれ、って言ってきたんだ』






………琉依…




『琉依は、俺が美羽に惚れてんの知ってんだ。でも…』


壱は少し言葉に詰まりながらも続けた。







『琉依が美羽に気持ち伝えた、って言って…』



……………。




沈黙が流れた。





――俺、美羽の事好きみてぇ――






『俺…すんげぇ動揺しちゃって。かっこ悪ぃけど…琉依、真顔だったし』




自然と握り締めていた拳に、ジワリと汗がにじんだ。






『でも、琉依は…美羽の事をずっと引きずってきたみたいで…最低な事をした、って言ってて…』




頷くあたし。





< 199 / 440 >

この作品をシェア

pagetop