恋愛心工事中。
「…バイバイ」
またね、じゃない。
『…………おう』
サヨナラ、だ。
あたしは、琉依の笑顔を目にしっかりと見て、背中を向けた。
そして、歩き出す。
……サヨナラ。
サヨナラ、琉依。
錆びついたアパートの階段を降りていく。
振り返らない。
だって。
ケジメ、つけたから。
…………っ、
あたしは階段を降りると素早く走ってアパートを去った。
走って、走って。
走って、走って。
「はあっ…っ…」
走りきった。
アパートから随分離れた路地で、あたしは泣いた。
琉依を想って泣くのは、これで最後。
琉依で頭をいっぱいにするのも、これで最後。
しゃがみこんで、誰もいない路地で大声で泣いた。
琉依の目の前では泣きたくなくて、我慢してた。
だけど、目の端で琉依が泣いていたのを見たら、素早く走り去った。
琉依の目の前で、泣いてしまうところだった…………。