恋愛心工事中。


――

部活も終わり、あたし達は自分達で解散した。


京司に急いでいるから、と告げて、走って玄関へと向かった。






「有美!!」



玄関には、バッグを持って立っている有美が居た。



『美羽!!』


有美は振り返ってあたしを見て手を振った。






「壱、探しにいこ…っ」


駆け寄ったあたしは、そう有美に言った。





『…実はね』


有美はそう言って、ある場所を指差した。





………………。





「………え…」



有美が指差したのは、あたし達のクラスの下駄箱。


そこにある、"黒崎 壱"の字がある下駄箱には…





「………壱…帰っちゃったんだ…」



校内で履く上履きが入っていた…つまり、壱は今、校内には居ない。





わずかな可能性にかけていたが、やっぱり無理だった。



「…………」




明日がある。

だけど…………。






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