恋愛心工事中。


翌日。

水泳大会まであと8日…


いつものように学校に着くと、あたしは額ににじんだ汗を拭いた。




教室はクーラーがきいていて涼しい。

だけど、それがこの間の壱から"諦める"と告げられた事を思い出してしまう…




あたしは、一番後ろの自席に着いた。


有美も、壱もいない。





少人数の静かな教室で、あたしは何か息苦しくなり、机に突っ伏した。



「……はぁ…」




こんな時に思い出すのは壱との思い出。


出会い、夜景、ファミレス、花火大会…





たくさんの壱との思い出に、自然と胸が締め付けられた。



男なんて大嫌いだと思っていたのに、今は感じない。




壱や琉依に出会って、あたしは少しずつ男嫌いが治ってきたと思う。





だから………


尚更、壱に会いたい。





あたしって、こんなに女々しかったの?

こんなに恋に悩むような性格だったの?




それとも………



壱だから、こんなに悩んでるの?






あたしは、歪む視界を必死に抑えて、ゆっくりと目をつむった。







「………泣き虫」






小声でそっと、自分自身に呟いた。






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