恋愛心工事中。
『…泣いてんの?』
黒崎が、あたしの目の前の席に座った。
あたしは何も言わず、頭を横に振った。
『…嘘つけ。』
黒崎は悲しそうな顔をして、あたしを見つめた。
……どうしてそんな顔…
『俺のせい?』
………っ。
あたしは何も言えなかった。
鈍感って言われてなのか、あたしは自分が泣いた理由が何故か分からなかった。
だけど、凄く悲しくなったの。
馬鹿みたいって思われる?
飽きられる?
その時、あたしの涙が一粒、日誌に落ちた。
日誌にしみを作った。
黒崎は突然、机をどかした。
椅子に座るあたしの目の前に、同じく椅子に座る黒崎。
そして、黒崎はあたしを抱き寄せた。
「……っ」
温かい黒崎に包まれて、驚いて声が出ない。
『…ごめんな』
黒崎はそう言ってあたしの頭をそっと撫でた。
…何故?
男嫌いなのに、何故だか嫌じゃない。
……むしろ、落ち着く。
あたしを助けてくれたから?
だから安全だと思うのかな…
『美羽…ごめん』
黒崎はあたしを馬鹿みたいだなんて思わなかった。
飽きれもしなかった。
黒崎の香りが、あたしの鼻をくすぐった。
緊張なようなドキドキ感があたしの胸に広がっていた。
ただ温かい腕の中は、幸福な夢の中にいるみたいだった。