恋愛心工事中。
「あの…京司にはれっきとした彼女が居て…」
『えぇっ!?』
佐々木君は大声をあげて口元をバッと押さえた。
『じゃあこの間…石橋と喧嘩してたのも彼女だったんだ…』
佐々木君が呟いた言葉にあたしは目を丸くさせた。
「……喧嘩…?」
佐々木君は頷いた。
『この間、部活終わった頃の時間に…帰り道で、石橋が誰かと言い争ってたんですよ』
音緒さんと?
『あまりに激しかったんで…俺と友達はすぐに通り過ぎましたよ…。
確か、石橋と笹崎さんだと思ってた彼女と…
体格デカい男が居て。』
…………え?
男?
何だろう………
妙な胸騒ぎ。
あたしの勘違いだと思いたいが…
『その言い争いが…かなり凄くて。石橋が別れてやる、とか何とか…』
…………は…?
"別れてやる"?
あの、音緒さんが大好きな京司が?
音緒さんからの電話が来た時のディスプレイを、自慢げにあたしに見せてきた京司が?
音緒さんと夫婦漫才みたいなことして…
音緒さんのことが大好きって言ってて…
しつこいと言われ続けても諦めずにアタックした…
あの京司が?