恋愛心工事中。
勢い良く曲がり角をカーブすると、左手に階段がある。
そこを通り過ぎようとした時だった。
「っ」
あたしは、目の端に見つけた光景のせいで、足を止めた。
「…………」
あたしはゆっくりと階段を見上げた。
「……京…司…?」
階段の所には、
京司が座っていた。
狼みたいな明るい茶色の髪の毛をこちらに見せるように、うずくまっていた。
「…………」
京司?
先程の佐々木君から聞いた話を思い返す。
"別れる"
京司と音緒さんに限って
そんな事あるの?
「……京司…?」
恐る恐る近づいて、声を掛けてみた。
………………え…?
何、これ……
「…ねぇ…京司…?」
何それ…
京司が手にしているものを見て、あたしは固まった。
「……クスリ…?」
"石橋京司はクスリをやってるって噂"
フラッシュバックする、有美の不安げな顔。
京司の手には、
小さいポリ袋に入った
白い粉
「…………」
待ってよ…
京司…ねぇ…