恋愛心工事中。


震える心臓を抑えながら
息を潜める



壱は近づき、
階段を上ろうとする。



すぐ近くに居る壱に
ドキドキと緊張した





壱は、あたし達に気付く様子も無く、階段を上っていった。


丘の上に行ったと思われあたしはそっと見上げてみた。







壱は立っていた。


夜になると輝く夜景が見れる景色を背にして。




柵に寄りかかり、考え事をするように少しだけ俯いている。



壱にバレないかヒヤヒヤしながら、あたしは壱を見つめた。








壱は、そのままの姿勢で動かなかった。



………………。


どこが顔を出せにいけない様子なんだろ。



確かに壱の寂しげな顔から、あまり元気よく話しかけには行けないけど……






その時、
一瞬だけ壱の顔が歪み









壱の頬に
一筋の涙が伝った









………………え……





壱はすぐに涙を拭いて、涙を流したことが嘘のようだった。



だけど、
壱の涙に、嘘は無い。






………………っ





"行くかどうかは
美羽次第"





自然に作った拳をギュッと握りしめた。





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