恋愛心工事中。
「行ってくる」
京司の返事も聞かないまま、あたしは立ち上がった。
『美羽…!!』
少し驚いたような京司の声にも振り向かず、あたしは階段を上ろうとした。
『美羽が行くなら俺は消えるよ。いいな?』
京司の気遣いに、胸が熱くなる。
「うん…ありがとう」
あたしが階段を上り始めた背後で、京司が立ち上がったのが分かった。
『頑張れよ』
京司の呟きが聞こえ、京司は歩いていった。
………京司
ありがとう……
京司の支えで
勇気が出た
階段を上りきり、
丘の上に立つ。
壱は俯いていた顔を
ゆっくり上げた。
「っ」
ビクリと揺れる体。
壱と目が合う。
「……………」
何も言えない。
壱が泣いたから
居てもたっても
居られなくて
なのに、いざ壱を
目の前にすると
何も言えない
何も出来ない……