恋愛心工事中。
『…………美羽』
壱がふと呟く
壱がまだ、あたしのこと
美羽って呼んでくれて
胸がジンワリと
熱くなった
「どうしたの…?」
やっと口から出た言葉が
何だか情けない
『言ったろ。
ここにくれば何もかもが忘れられるって』
壱が寂しげに
静かに微笑んだ
その笑顔は
壱の本当の笑顔じゃないようだった
だから尚更
泣きそうになってくる
「何か…夜じゃないと…雰囲気が違うね」
壱と見た
宝石みたいな景色も良かったけど
この昼に見る景色も
初めて壱と見た
『美羽は?
何で居んの?』
佐々木君に呼び出された時とは別人かのように、壱は優しい口調だった。
「…何となく」
薄く笑うと
笑い返してくれた