恋愛心工事中。


……………


沈黙が
2人を包んだ



聞かなきゃ
壱の涙の理由

けど
軽蔑されたらどうしよう

陰で見てたなんて
怖くて言えない




………けど…
だけど…

言わなきゃ、
聞かなきゃ。



壱が涙を流したのを見た

そうしたら
体が咄嗟に反応した



行くか
行かまいか

迷うことも、その時のあたしには無かったの



壱が泣いたから

ただ、それだけ。


それだけで
壱の元に行かなきゃって直感した。




…言わなきゃ
壱に……








「『あのさっ』」




重なった言葉に
お互い目を丸くする



『何?』
「壱から言ってよ」



壱は困ったような顔を一瞬だけさせ、




『じゃあ聞いて』



と寂しげに笑った。




壱の笑顔が
いつの間にか
寂しげになった

それは
あたしのせいなのかは
分からないけれど




壱のふと見せる
泣きそうな表情に
胸が痛くなる



壱のそんな顔
見たことが無かったから





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