恋愛心工事中。


『俺、美羽とは、もう近づきたくなかった』


………え……?



すると、あたしの表情を見て、あたしの気持ちを悟ったのか、



『違う違う!
そういう意味じゃない』

と笑った。


笑われると
胸が苦しくなる





『美羽は男嫌いなのに、強引に接しちまったし…俺からの告白とか、琉依の存在で凄ぇ戸惑ってたと思うし』


壱の目が悲しそうに
下へ伏せられる。




『これ以上、美羽に近づいてたら…美羽の気持ち関係無しに奪ってやりたくなっちまう』



…………っ…

ドクンと
心臓が跳ねた





『そんな事したら、美羽悲しむし苦しいだろうから…』


そんな…そんな。




『親父が倒れた今、俺はイギリスに行かなきゃなんない。いつ帰ってくるかも…分かんないんだ』



壱の切ない声に
思わず声が出た










「行かないで……」





我が儘だって。
無理だってことは
分かってる。

だけど………
あたしの気持ち、
これしかない。




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