恋愛心工事中。



『………』

壱は無言のまま
あたしの頭に手を置いた



温かい手…
涙がもう半分出てた。



『それって…俺の気持ちが通じたの?』



まるで遠回しに、"鈍感"と言われているようで気にくわない。

心の中だけで、
毒づいてみせる。






『けどな』

壱が、あたしの返事を聞かずに言った。







『俺、いつ帰ってくるか分かんねぇだろ。だから…"待ってて"って言って美羽を束縛したくない』



……違う…
あたしの望んでる事は…







「やだよ…っ…
束縛しても………
良いからっ…」


とうとう泣いた
泣いてすがりついた





『ならさ』

壱はあたしを離し
柔らかく笑う。




『俺がもし帰ってきた時にも、まだ俺のことが好きだったら付き合って』


……何それ…




『それも束縛みたいなもんか。』

と壱は笑った。



ずるい…壱はずるい…



そんなの…





ずっと美羽を想ってる

そう言ってるようなもんじゃんかよ





「壱…っ」


涙が止まらない。




< 314 / 440 >

この作品をシェア

pagetop