恋愛心工事中。
ガラガラッ
扉の開く音がして、その方向を見ると、担任の政え先生が居た。
『えー、おはよう』
今だにザワザワする中、政え先生は挨拶をした。
『今日は皆に大事な話があります。えー、よく聞いて下さい』
口癖は相変わらずだが、政え先生の表情は真剣だった。
「…………」
壱の話だ…………
体が震える。
どうしても信じられなかった話が、もっと鮮明に、目に見えてくる。
隣に居ない壱が、
本当に居なくなる…
『入って』
政え先生は扉の方を見て、静かに言った。
生徒達のざわめきは、少しずつ収まっていく。
ゆっくりと中に入ってきたのは、やはり壱だった。
胸が、何かに貫かれたように痛む。
壱の表情は堅かった。
生徒達が何だろうと身を乗り出した。
教室の後ろの席に座る壱が、今、教室の前で…皆の前で立っている。
有美も何事だろう、と顔を上げて注目していた。