恋愛心工事中。
『えー…
黒崎、話して』
生徒達は静まり、
壱に注目した。
あたしだけが、壱を見る事が出来ない。
『皆、』
壱が口を開く。
……聞きたくない。
『俺、イギリスに行くことになりました』
壱の発表に、
皆がざわついた。
まるで、壱が転入してきたみたいだった。
だけど
あの日とは違う。
『家の事情でイギリスに行くことになって…けど、いつ帰ってくるかも分かんないし…もう帰ってこないかもしれない』
皆、深刻な顔をして、壱を見つめていた。
『短い間だったけど、凄く楽しかった。また戻ってこれたら良いけど…それで皆に会いたい、けど…』
壱は穏やかな表情で
話を続けた。
『今はまだ分かんないんだけど、皆と会えなくなるのは確実』
耳を塞ぎたい。
『その期間が、短いかもしれないし、長いかもしれない』
生徒達は静まり、
壱の言葉を
聞いていた。
『皆、ありがとう』