恋愛心工事中。
『『って事で』』
ゼイゼイ荒い息を吐きながら、2人は屋上を出ていった。
有美、最初はあんなに京司の事を怖がってたのになぁ……
屋上を下る階段から今も聞こえる喧嘩の声に、思わず笑みがこぼれた。
『やっと笑った』
壱がそう言って
あたしの顔を覗き込む
ドキン、と
心臓が跳ねた
『美羽の笑顔、
何か久々』
壱は顔をクシャッとし
綺麗な笑顔を向けた
「そ、そう!?」
有美達が気を遣ってくれたのは分かっていた。
だからこそ
恥ずかしくなる。
『美羽……、
あのさ』
急に真剣な目で
あたしを見た壱に
驚いてしまった
壱の瞳は
色素が薄い
カラーコンタクトを
入れているみたい
クォーター、
だからだよね。
少し黄緑色で
薄い薄い茶色の瞳。
金色の髪も
高い鼻も背も
白い綺麗な肌も
全て納得できる。
壱を見ていると、
壱は口を開いた。
『俺の事、
忘れていいから。』
固まったあたしの首筋の
髪をどけて
刻まれた紅い印を
壱は指でなぞった
ビクン、と
体が反応する。
意識が、神経が、
首筋に集中する。