恋愛心工事中。
『美羽に好きな人が居るっていうのは知ってるけど……俺、やっぱ諦めねぇ』
震えるあたしの肩を
佐々木君はそっと掴んだ
『友達からで良いから…
俺のこと、見てほしい』
ふわ、と
佐々木君の香りが
あたしから離れた。
『……………良い?』
それはつまり
壱への想いを捨てる
そういうこと?
壱のくれた思い出
壱の表情や言葉、仕草が
鮮明に思い出せる
それだけあたしは
壱と過ごした時間を
好きだったんだ
『俺じゃ頼りない?』
少し苦笑いする佐々木君に、頭を横に振って違うと否定してみせた。
佐々木君は少しだけ安堵したように、あたしから離れた。
『ごめんね、急に。』
「ううん!!」
謝られると、どうすればいいのか分からなくなってくる……
「………………」
佐々木君は
何も言わなかった
"……………良い?"
きっと佐々木君は、あたしに好きな人が居ると知ってから、無理に答えを催促しないんだ。
そんな優しい心遣いに、胸がチクンと少しだけ痛んだ。
………………ごめんね。