恋愛心工事中。


「………ん、何?」

そう聞くと
吉田は息を吸って吐いて


俺を見つめた










『黒崎君が、
……好きだった』









聞き逃してしまうくらい小さな声量で、吉田は呟いた。







「…………そっ、か」


俺はただ
俯いた吉田を見て




「………有難う」

これしか言えなかった




情けねぇし最低だ



何で今
美羽の顔が浮かんだんだ

来てくれる訳ないのに




『…………ごめん、それだけ言いたくて』

「いや……大丈夫。
嬉しい。有難う」



あんまり告白されて
ごめん、は言いたくない


相手が傷つくのは
目に見えているから






『黒崎君てさ、美羽のことは……ずっと好きで居るの?………辛くないの?』


申し訳なさそうに言う吉田に、俺は微笑みかけた。




「確かに辛い」


でも、もう分かってるんだ




「…………美羽は、
佐々木を選ぶ」







俺が小さく呟いたのに

吉田は美羽と佐々木の関係を知っていたようで、目を見開いた


『何で…………』

驚く吉田。





「俺、2人が一緒に保健室に居るの見たんだ。……あの2人ならきっと、幸せになる」








気持ち悪い

こんなこと
言いたくなんかねぇ


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