恋愛心工事中。



『はぁ……やっぱり俺って分かりやすいんだ』


落胆する佐々木君。

やっぱりまだ好きなんだ。






「美羽もモテるわね」
『ほんとですよ』



男が皆、笹崎笹崎って騒ぐから毎日イライラして……

そんなことをブツブツ呟く佐々木君。






「でも残念だね」
『何が?』


あたしの言葉にピクリと反応した佐々木君。










「報われない恋だよ、佐々木君」








あたしがそう言った時



ざわめく屋内プールの中が

沈黙に包まれたような気がした






唇を噛み締めて
黙っている佐々木君



ほんと罪な女だな、美羽は。







『………そうっスね』




そう言って寂しそうに笑う佐々木君は


美羽が好きだと
心で叫んでいた







「分かってるならさっさと諦めて次の女見つけないと。美羽なんかより良い女居るって」



分かってる。



これがどんなに酷で




どんなに佐々木君を
苦しめる言葉か、

なんて。



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