恋愛心工事中。



「京司ぃ」

『何泣きそうになってんだお前。
気持ち悪ぃな』

「最低」




そう言いつつ
隣であたしの頭を撫でる京司

凄く安心するから
更に泣きそうになる






『まぁ…気持ちは分かる』


京司は苦笑いした。



京司はあたしの次の50mクロールに出て、100mリレーのあたしの前を泳ぐ。


後から入ったのに大会に出れる程、京司は泳ぎがうまかった。






『じゃあ緊張紛らわすためにさ、黒崎のクッサい台詞でも思い出しとけよ』

「ぶはっ」



京司の提案に、思わず爆笑してしまう。壱のクサい台詞、とか言うから。




「ぐあはははっ」

『だからその笑い方直せって』





ひとしきり笑った後、ふとあることを思い出した。



「き、京司っ!!!」
『んだよ』

「音緒さんとのこと!
聞いてないよっ!!」




普通の人なら、傷つくだろうか。以前の恋人の名前を出されたら。

だけど、言ってしまってからでは遅い。ハッとして京司を見た。


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