恋愛心工事中。
「やだ!!行きません!!」
『座ってニコニコしてるだけだから!!ね!?』
有美ってば本当にお願いしてるし。
まぁ…有美のためなら、一肌脱ぎますか。
「………分かった。」
あたしが渋々そう言うと、有美の顔がぱあっと華やぐ。
『ありがとう!!美羽ー!!』
あたしに抱き付く有美。
「んも~」
黙って静かにしてれば男は寄ってこないはず。
あたしは意味の分からない確信を胸に、合コンの日にちを聞いた。
その週の日曜日。
あたしと有美と、何回か会った事のある有美の中学校の友達3人は、駅前のカラオケに来ていた。
男は大学生だそうだ。
有美は、今年の夏こそ彼氏を作ると言って、気合い十分、肌を露出した格好。
有美の中学校の友達も、気合いが入っている。
…ただ一人、あたしだけ地味な格好。
勿論、わざと。
地味な女の子を演じていれば、絶対男は寄ってこない。
あたしはまたしても意味のない確信。
そして、時計が午後8時を差した時、何かが手を振り、近寄ってくる。
…………っうげ!!
男達だった。
あたしはさっと視線を逸らす。
心臓はバクバクと激しく脈打つ。冷や汗が出てくる。
暗闇の中、街灯に照らされ、ようやく姿が見えた。
大学生のイメージは、大人。
高校生と年が少ししか違わないのに、全然違う。
しかし、そこに現れたのは、キャップを深くかぶり、ダボダボの洋服を身にまとっている男達。
キャップから覗く金髪がギラギラと光る。
たくさんのピアス。
髭をはやし、色黒。
男達はみんな、同じよう。