恋愛心工事中。
過去、告白
黒崎の胸の中に居ると、黒崎の香りがする。
香水では無い香り。
やっと息が出来た。
「あの…ねっ…」
止まりそうに無かった。
吐き出してしまいたかった。
黒崎の優しさに甘えて、またおかしくなってしまいそうだった。
「あたっ…し…」
黒崎が、言葉をつっかえるあたしの背中をさすった。
あたしは、話し始めた。
中2の秋だった。
『てめぇら何やってんねん、離れろボケ!』
『出たっ!藤城!』
『逃げるぞっ!』
あたしは今日も男子にからかわれ、メソメソと一人泣いていた。
『笹崎?大丈夫か?』
そんなあたしを助けてくれたのは…藤城琉依。
あたしは男子が怖かったから、藤城も含めて男子とは話す事が無かった。
藤城は学級委員をやっているからか、正義感に溢れていて、誰か困っている人をよく助けていた。
その助けられている中の一人、あたし。
「………っ」
助けてくれたのに、恐怖だった。
いつもろくに゛有難う゛と藤城に言った事が無かった。
『あーあー。
こんな目腫らして。』
放課後。
廊下で男子達にからかわれていた、あたし。
しゃがみこんだあたしの隣に、藤城もしゃがみこんだ。
「っ、」
怖くて、身動きが取れないー!
『んな怖がらんでも。
俺は助けてやったんやで?失礼やな。』
藤城は小学生の時、大阪に住んでいたらしく、その訛りが取れないと、いつも言っていた。
だから、キレた時の藤城は迫力がある上、関西弁なので、その時は皆に怖がられていた。
普段は皆に好かれるタイプ。