恋愛心工事中。

近付く…?




『……美羽』


泣きすぎてうまく伝えられたか分からない。

ただ、黒崎が優しくずっとあたしの背中をさすってくれていた。



それがとても安心出来たの。






『…それで男嫌いになったんだ』


「うん…
男って皆そんな事考えてるのかなって…
本当に怖くなっちゃって…」



黒崎は黙って聞いてくれていた。





「ナンパとか…体目当ての男とか居るでしょ?
だから…カラオケの時は本当に怖くて…また男に何かされるのかって思って……」




黒崎は静かに頷いた。






「だから…黒崎が助けてくれた時もね…正直、黒崎が怖かったの…けど、話せる自分が居て…」




『………うん』





「高校に入っても、凄く男が怖くて…男と話す事なんて無かった…
けど、京司は凄く良い友達になったの…」




『…アイツの事は平気なんだ』


「うん…見た目は怖いけど、凄く優しいし…
大丈夫……」




『じゃあ俺は?』




………。


黒崎……は……








「黒崎は…ウザいけど、平気…かもしんない。」



あたしが小声で呟くように言うと、黒崎の笑い声が聞こえた。






『ウザいのかよ、俺。』



黒崎は、ツボに入ったのか、クスクスと笑いが止まらない。





「……ウケすぎ」





『良かった』






………?

「何が?」






『美羽が俺の事嫌いって言ったらどうしようかと思った…』




…………っ。




「嫌いだったら今頃アンタと一緒になんか居ないよ……」



『…じゃあ俺の事好きって事!?』




抱きしめられているので黒崎の顔は見えないが、輝きに満ちたような表情をしたんだろう。





「違う!
普通って事!」



『でも普通で俺の事友達だと思っててもさ、抱き合わないよな?』





< 80 / 440 >

この作品をシェア

pagetop