何度でも、伝える愛の言葉。
『悟がいつも言ってるスクールの先生だよな?澪をメンバーに勧めてくれた。』
何から話し出せば良いのか分からなくなっていた私に樹季くんが優しく聞く。
「そう、早坂先生。」
『もう良基さんって呼ばないの?』
「え?」
どうして樹季くんが先生の下の名前を、そして私がそう呼んでいることを知っているのだろうと思ったところで、私が昨日無意識に名前を呼んでいたことを思い出す。
「うん…もう、呼ばないかな。」
『どうして?』
「だって…ただの先生だから。」
特別でも何でもない、ただの先生。
だから私はもう良基さんとは呼ばない。
『でも前はそうじゃなかったんだろ?』
「そう、だね…。」
なぜだか、樹季くんに全てを見透かされているような気がした。
いくら私が先生を好きじゃなかったと言っても何も信じない。
まっすぐな瞳がそう言っているようで、私はしばらく樹季くんから目が離せなかった。