何度でも、伝える愛の言葉。

「もう、誰も失いたくないの。」

『えっ?』


私の細い声は樹季くんに届く前に消えてしまった。


本当に好きって思ってくれてるの?

都合の良い存在だからじゃないの?

どうせすぐに、私の前から居なくなっちゃうんじゃないの?


そうしたら私は、バンドに居られなくなる…?


様々な思いが交錯して、身体も言葉も固まってしまう。



「私、バンドに居たい。皆とデビュー目指したい。でも…そのときまで変わらず樹季くんと一緒に居られる自信がないの。」

『俺にはある。澪とずっと、変わらず一緒に居られる自信がある。』

「どうして?」

『何があっても、俺が澪を放さないから。』


何があっても、放さない…。

その言葉を頭の中で繰り返す。


ずっと変わらずに居られる根拠なんてどこにもない。

ほんの些細な出来事で好きじゃなくなってしまうことだってある。


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