何度でも、伝える愛の言葉。
『俺は澪が言ってくれる程良い奴じゃねぇよ。』
悠くんが独り言のように呟く。
『本当に良い奴なのは、樹季なんだ。』
心からそう思っている、そんな素直な優しさが込もった悠くんの言葉に、さっき別れたばかりの樹季くんにまた会いたくなる。
「樹季くんだけじゃないよ。悠くんも悟くんも誠ちゃんも、私にとっては皆が良いヤツだよ。」
『澪…。』
私は知っている。
メンバーの皆がいつもお互いのことを思い合っていることを。
バカだなって笑いながら、リスペクトし合ってることを。
「そんなメンバーのことが私は大好きだし、悠くんが私を灯里さんの代わりにしようとしてたとか、そんなの全然気にしないから。」
これは本当に、本心からそう言える。
そんなことで揺らがない絆が、バンドにはあると知っているから。
「だからもう忘れて?自分を責めることも、樹季くんや私に対して申し訳ないって思うことも、もう辞めて?」
『…あぁ。ありがとな。』
あまり多くは話さない悠くんだからこそ、その胸の中にある灯里さんへの想いはとても大きなものなんだろうと思う。
2人で笑い合った、その笑顔を守りたい。