何度でも、伝える愛の言葉。
また誰かが授業をサボっているかと思ってスタジオに来てみたけれど、誰も居なかった。
悟くんに借りた鍵で中に入り、キーボードの前に座る。
昨日悠くんから聞いた話を思い返し、会ったことのない灯里さんのことを思う。
どんな人なんだろう。
どうして悠くんを置いて行ってしまったのだろう。
そもそも、そんなことが可能なのだろうか?
誰にも気付かれず、皆の前から居なくなるなんて…。
『やっぱ誰も来てねぇか。』
思考がぐるぐると回り始めたとき、悟くんがドアを開けた。
今日はバイトもスクールも休みらしい。
「うん、真面目に授業受けてる証拠だね。」
『卒業できないとかシャレになんねーからな。』
冗談っぽく笑いながら、どこか本気で心配そうな顔をしている。
「本気で目指してるんだもんね、デビュー。」
『当たり前だろ。その為にバンドやってんだから。』
「うん、ごめん。」