何度でも、伝える愛の言葉。

本気でデビューを目指してることも知っているし、私も同じ気持ちだ。

だけど、私にはひとつだけ引っかかっていることがある。



「ねぇ、悟くん。
早坂先生が、私をバンドに勧めた本当の理由ってなに?」

『え?』


私が最後まで聞けなかったこと。

先生は、何を思って私をバンドに勧めたのか。



『本当も何も、澪の実力を知ってるからだと思うよ。澪なら俺らの力になれるって思ったんじゃないか。』

「そうなのかな…。」


信じられない、という言葉は胸にしまっておく。

だって、私のことなんてどうでも良かったくせに…。



『あ、あと。バンドに入ることはきっと澪の為にもなるって言ってたな。』

「私のため?」

『あぁ、ピアノ弾くことも楽しくなるんじゃないかって。』


楽しくなる…。

確かに、皆に出会いバンドに入ってからの毎日はとても楽しい。

だけどそれが私を簡単に見捨てたことへの先生の罪滅ぼしなのだとしたら…


そんなの、要らない。



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