何度でも、伝える愛の言葉。
だけど単純に、こうしてできた曲をメンバーが良い曲だなと言ってくれたことが嬉しかった。
これで勝負しようと言ってくれたことも。
その一方で、この曲を、歌詞を、どこかで灯里が聴いてくれれば…と思う個人的な気持ちがあることは確かだ。
そのことをどうしてもメンバーに話すことができない。
『悠くん。』
練習を終えた帰り道、樹季と帰ったと思っていた澪に声をかけられた。
「おお、どうした。」
『悠くん…嬉しくない?二次通過したこと。』
「え?」
その言葉に驚く。
やはり澪は俺の気持ちに気付いていたのか。
『あの曲で通過したこと、気にしてる?』
そこまで言って、言葉に詰まる。
きっと、ずっと思い当たっていたのだろう。
「まぁ、な…。」
『そっか。やっぱりそうだったんだね。』
2人で並んで歩きながら、俺たちはしばらく無言だった。
話すべきことは沢山あるはずなのに、言葉が出てこない。