何度でも、伝える愛の言葉。

『最終はライブ審査でしょ？普段の私たちのライブとは比べ物にならないくらい沢山お客さんが来る。それに、最終まで進めば曲をラジオでも流してもらえる。そしたらさ、』

「どこかで灯里が聴くかもしれないってこと？」

『そう。』


そんなこと、と口から零れ出る。

あるわけがないと思ってしまったから。



『そんなことあるわけないって思った？』

「えっ？」

『でも、“そんなこと”にずっと賭けてきたのは悠くんでしょ？』


何も言えなかった。

その通りだったから。


灯里は居なくなってしまったけれど、俺がこうしてバンドを続け曲を作り続ける限り、その曲を灯里がどこかで聴いてくれるかもしれないという可能性は生まれ続ける。


その、ほんのわずかな可能性に俺はずっと賭けてきた。



『悠くんがずっと望んできた可能性に、私たちも賭けたくなったの。』

「澪…」


まさかそんな風に思ってくれていたなんて、全く気付かなかった。