何度でも、伝える愛の言葉。

「なぁ、灯里。もう1度…俺と付き合ってほしい。」

『悠くん…』


意を決してずっと伝えたかった想いを伝えると灯里は困ったように少し笑って俯く。



「俺はずっと灯里のことが好きなんだ。バンドばっかで寂しい想いもいっぱいさせたと思う。でも俺には灯里がいないとダメだって、離れてから余計に思ったんだ。」

『でも私…もう東京じゃないし…。』

「そんなの関係ないだろ。会おうと思えば会える。今日だって灯里が会いに来てくれた。」


灯里は何かをぐっと考え込むように黙る。



『私で、良いの…?』

「俺は、灯里が良い。」

『悠くん…』


そっと握られた手が、始まりの合図のようだった。


想えば届くなんて、そんなことあるはずがないとバカにしていた頃の自分に伝えたかった。

想ったって届かないかもしれない。

でも、想わないと届かない。



「もう、どこにも行くなよ。」

『うん。』


握り合った手の中に確かな温もりを感じながら、俺たちはただ傍に居た。


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