何度でも、伝える愛の言葉。
反省会の為にスタジオへ行くと、既に誠太が来ていた。
「珍しいな。彼女見に来てたからまだ一緒に居るのかと思った。」
『あぁ…まぁな。さっきまで一緒に居たんだけど、今日はそんな気分じゃないっていうか…』
なんとなく歯切れが悪い。
さすがの誠太も今回の結果は堪えたのだろうか。
『で、そっちは?彼女。』
「俺もさっきまで一緒に居たんだけど、それぞれ一旦帰ってから来ることにしたから。」
『そっか。』
その後も誠太は、なんとなくバスドラを鳴らしてみたり、手でシンバルに触ってみたりとどこか落ち着かない様子だ。
『なぁ、』
「ん?」
『俺さ、』
『おつかれーっす。』
誠太が何か言いかけた時に悟がやって来て、誠太の声はそのまま消えてしまった。
「誠太、どうした?」
『いや、別に何でも。』
悟が作曲ノートに齧り付いている間にそっと聞いてみたが、もう誠太の話す気は失せているようだった。