何度でも、伝える愛の言葉。

スタジオを出るとまだまだ暑い陽射しに目を細める。



『もうすぐ夏休みだね。』

「だな。夏休みはライブ三昧にしてぇよなー。」


どちらからともなく手を繋ぎ、コンビニまでの道を歩く。

繋いだ手の温もりを感じながら、昨日良基さんと話したことを思い返していた。



「なぁ澪。」

『ん?』

「何かあった?」

『えっ?』


唐突な俺の問いかけに澪が足を止める。

ちょっとストレートすぎたか…?



「いや、あのさ…最近ちょっと元気ないなって思ってたから。何かあったのかなって。」

『そうかな?私、毎日楽しいよ。』


しどろもどろになってしまった俺に対して、澪は何のためらいもなくサラッと答えた。

毎日楽しい。

それはとても良いことなのに、なぜか胸がざわつく。



『でも…、』


するり、と澪の手が俺の手から離れる。



『この前のオーディションの後から皆でデビューについて話すことが増えたでしょう?』

「あぁ、うん。」

『それでちょっと、いろいろ思い出しちゃって。』


思い出す…?


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