何度でも、伝える愛の言葉。

夏休みが終わり、季節は秋になった。

夏休みはライブと曲作りと宿題漬けの日々で、私以外のメンバーはバイトもあったりしてとにかく忙しそうだった。



『澪っ!!』


スタジオでひとり曲作りをしていると学校帰りの悠くんが飛び込んできた。



「どうしたの?そんなに慌てて。」


秋とは言えまだ少し暑さも残っている。

額に汗を浮かべて息を切らす悠くんの姿に何事かと身構える。



『連絡!きたんだよABCレコードから!』

「え?」

『俺らのデモ聴いて、今度ライブ観に行くって!』

「それ、本当…?」


夏休み前、私たちは沢山デモCDを作りレコード会社や事務所に送り続けた。

聴いてもらえないかもしれないと思いながらも、僅かな期待に懸けて。


その曲が、届いた…?



『本当だよ!その日のライブ次第では今後のことも考えるって言ってくれた。』

「今後のこと…」


それはつまり、



「デビューってこと…?」


< 173 / 276 >

この作品をシェア

pagetop