何度でも、伝える愛の言葉。

大事な大事なライブを翌日に控えた今日は登校日で、悟くんと一緒に学校へ行く。

入学したときは、こんな風に誰かと一緒に学校へ行く日が来るとは思っていなかった。

思えば、私を最初に見つけてくれたのは悟くんだ。

もう随分前の出来事のような気もするけれど、出会いはまだほんの半年前で。

振り返ってみるととても密度の濃い半年だったと思う。



『どした?』


そんなことを考えていると悟くんが心配そうに覗き込んでくる。



「なんか、皆と出会ったときのこと思い出してた。」

『あー懐かしいな。あのとき俺らすげぇ緊張しててさ。』

「え?そうだったの?」


お昼休みの中庭で初めて声をかけられたとき。

何事かと思い緊張していたのは私の方だと思っていた。



『今だから言えるけどさ、あのときの澪ってちょっと不思議だったっていうか。何考えてんだろうなこの子、みたいな。
早坂先生に聞いたってだけで澪のこと全然知らなかったからさ。』


早坂先生と言ってから悟くんがあ、という顔をする。


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