何度でも、伝える愛の言葉。
その現状に甘えていて良いのか、もっと自分たちの力で掴みに行くべきではないのか。
そう話し合って、これからはもっともっと自分たちで動いて行こうと決めた。
だけどこの人たちは、デモを聴いて来てくれたわけではなかった。
掴み取ったはずのデビューという夢は、誠ちゃんのお兄さんが与えてくれたものだった。
これで良いのだろうか。
きっと今、皆の心の中に漂っているであろう気持ち。
『まだ皆高校生だよね?卒業したらすぐ準備できる?』
答える者は居なかった。
『あれ、厳しい?』
筒見さんが心配そうに聞く。
『すいません…また改めて連絡しても良いですか。』
皆に確認することなく悠くんが言ったのは、確認するまでもなくそれが共通意識だと分かっていたからだろう。
『うん、良いよ。よく考えて。』
『ありがとうございます。』
『これからも頑張って。』
帰って行く2人を見送って、再び腰を下ろす。
誰も、何も言わなかった。
『…ごめん。』
しばらくの沈黙の後、誠ちゃんが謝る。