何度でも、伝える愛の言葉。

『そうだよな…この前のオーディションだって何も引っかからなかったのに急にデビューって。おかしいよな。』


自虐的に笑う誠ちゃんの姿に、落ちてきそうな涙を必死で堪える。



『そんなこと言うなよ。』

「そうだよ。今日のライブだって良かったし、楽しかったよ。」


樹季くんと私の言葉も、今はただ虚しく響くだけだ。



『どうする、今回のこと。』

『ごめん。兄貴のことは気にせずに断ってくれていいから。』


静まり返る空気が、皆の答えなのかもしれない。



『良いのかな、それで。』


今まで黙っていた悟くんが言う。



『この際きっかけなんてどうでもいいんじゃねぇの。デビューして活躍すれば、最初の理由なんていくらでも覆せる。
自分らの変なこだわりでこのチャンスを逃していいのかよ。このまま今までと同じように活動してても、こんなチャンス2度と来ないぜ。』

『悟…。』


初めて出た前向きな意見に誠ちゃんが少し救われたような顔をする。


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