何度でも、伝える愛の言葉。
『俺もこの話に乗りたい。でももし誠太が今回は辞めておくって決断したら、その気持ちを尊重したいと思う。』
樹季くんが思っていることは私の考えとよく似ていた。
「私も同じ。誠ちゃんがどんな答えを出してもそれを受け入れたい。」
『それでもいいからデビューしようって説得することは?』
「しない。…できない。」
あの姿を見て、説得なんてできない。
『でも誠太の兄貴は俺たちの為に力貸してくれてるんだぜ?その気持ちを無駄にしてもいいのかよ。』
その気持ちが誠ちゃんを苦しめているのだとしても…?
『ずっと兄貴が貸してくれてるスタジオで練習してたくせに、いざとなったら兄貴の力ではデビューしたくないって。』
『悟。』
「やめてよそんな言い方。」
悟くんを止める声が樹季くんと重なる。
聞きたくなかった。
『この前あいつ、兄貴の力でライブ出してもらえてることもスタジオ借りてることも俺たちが本気で向き合わずに甘えてるみたいな言い方したけど、俺は違うんだよ。』
もう聞きたくない、聞きたくないのに…。