何度でも、伝える愛の言葉。

『自分たちの曲で、ライブで、自分たちで掴んだチャンスでデビューしたいと思うのは間違ってるって言うのか?』

『間違ってるなんて言ってないだろ。俺はそこに固執する意味が分からないって言ってんだ。』

『別に固執してるわけじゃ…』


悠くんが言葉に詰まり、沈黙が流れる。


私も“固執”という言葉の意味を考える。

自分たちの力でデビューを掴み取りたいだけ。

そう思い続けて来ただけ。

それでも固執と言われてしまうのだうか。


だとしたら、



「悟くんだって、誠ちゃんのお兄さんの力を借りてデビューしたいって気持ちに固執してるんじゃないの?」


皆の視線が一気に私に集まる。

だけど怯まない。



「私だって、そこに固執する意味が分からないよ。」


悟くんの、射るような目線が痛い。

でもそこに固執しなければ、自分たちの力でデビューできることへの望みだって持ち続けられるはずなのに。



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