何度でも、伝える愛の言葉。

『誠太はいつも彼女彼女言ってるけど、それを原動力にしてバンドにも本気で打ち込んでる。兄貴の背中を見てるから練習だって必死にやるんだよ。そんな誠太を見てお前らは何とも思わないのか？』

『俺は…』


悟くんは理不尽なことを言っているわけではない。

正論だからこそ、答えられないことがある。

反論しようとしたけれど悠くんは言葉に詰まり、樹季くんも私も言葉が出てこなかった。



『悠斗と灯里ちゃんのことも樹季と澪のことも応援してたよ、ずっと。それは本当だし信じてほしい。…でも、今はそのことを後悔してるんだ。』


これまでを振り返ってみても、悠くんが灯里さんに向けて作った曲や私と付き合うように樹季くんの背中を押したことなど、悟くんの存在の大きさを感じることは沢山あった。

だけど今はそのことを後悔していると言う。

どこで誰が間違えてしまったのだろう。



『やっぱりあのルールは、取り消さない方が良かったんじゃねぇの。』


聞きたくないと思うのに、耳はいつまでも悟くんの声を拾い続ける。