何度でも、伝える愛の言葉。

あのルールとは、私が加入するときに悠くんが定めた“バンド内恋愛禁止”というものだろう。

元々は悠くんが気持ちを自制するために決めたルールだが、樹季くんを励ます意味で後に悠くん自身が取り消した。

そのお陰で、今の樹季くんと私がいる。



『あれは俺が勝手に作ったものだから、別にそこまでこだわらなくても…』

『でもあのルールがあり続けていればバンドの今は変わってたと思う。』


それはつまり私と樹季くんが付き合うことはなかったということで、悟くんが言っているのはその方が良かったということだ。



『やっぱり間違いだったんだよな…俺が樹季の背中を押したりしなけりゃ2人が付き合うことはなかった。』


悟くんの後悔は、私が想像していたよりもっと深いところにあった。



『やめろよ。』


樹季くんが遮る。



『澪の樹季への気持ちを疑うことも、樹季がずっと早坂先生の存在に悩むこともなかった。』

『悟っ!』


どうして今先生の名前が出るのかも、私より先に樹季くんがその名前に反応したのかも。

全部全部、分からない。



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