何度でも、伝える愛の言葉。
帰る場所
飛び出したところで行く宛はなく、ふらふらと歩いていると公園のベンチに座る誠ちゃんの姿があった。
「誠ちゃん。」
『あぁ、澪ちゃん。』
まだひとりにしておいた方が良いかとも思ったけれど、返事をしながら端に寄ってくれた誠ちゃんに甘えて隣に座る。
『今日はもう解散したのか?』
「ううん…逃げてきちゃった。」
『そうか。』
それ以上誠ちゃんは何も聞かなかった。
バンドに入ってから初めて見たメンバー間の衝突は、思いの外私に大きなダメージを与えていた。
私のせいで、今バンドは大きな岐路を迎えている。
このタイミングでデビューするか、しないか。
話し合いの論点はそこだったはずなのに、今の私にはバンドを続けるか、辞めるかの話になっている。
「ねぇ誠ちゃん。樹季くんと早坂先生って、何かあったの…?」
『え?何かって、何…?』
私の質問に分かりやすい程簡単に動揺する誠ちゃんから、やはり何かあったのだと悟る。